幻のお米、無農薬で復活!!西の「旭」、東の「亀の尾」
明治の世に生まれた「旭」と「亀の尾」、無農薬で復活!!
現在では幻の米となった「旭」と「亀の尾」がアグリなかいの田んぼで無農薬で復活しました。
今となっては農家でもほとんど知らないと思われますが、その昔、西の「旭」、東の「亀の尾」と言われるほどの当時のお米の代表する品種でした。
現在の日本の代表的な美味しいお米のルーツをたどるとこの二つの品種に行き着きます。
「ひとめぼれ」やテレビでおなじみの「つや姫」「ゆめぴりか」等の新品種もルーツを辿るとこの「旭」と「亀の尾」に行き当たります。
米作りを始めた当初から一度は作ってみたいという思いはありましたが、その当時は種籾の入手は不可能ということで、単なる願望でしかありませんでした。
そして現在まで米作りをしている中で、あれも作ってみたいこれも作ってみたいと様々なお米を栽培してきましたが、近年新しく育成されるお米はどれも同じようなもので、テレビなどのメディアで大々的に宣伝されますが、アグリなかいの「作ってみたい」という気持ちを動かすものではありません。
逆に心の片隅に置いておいた「旭」と「亀の尾」を作ってみたいという思い膨らみ始めたのです。
そこで数年前から種籾探しを始めました。
栽培農家を探しては種子を分けてもらいたいと頼むものの、中々うんと言ってもらえない状況が続きました。
そしてやっとのことで、2014年に「旭」、2016年に「亀の尾」の種子を手に入れることが出来たのです。
これから米作りを続けていく限りこの「旭」と「亀の尾」は守り続けたいと思っています。
幻のお米・旭
昭和30年代頃まで関西では「旭でなければ米でない」といわれていた人気の「旭」。
その誕生は
旭は明治41年(1908年)、京都府向日町の農家、山本新次郎が、在来品種「日の出」の中に、倒伏しないですっくと立つ特異な2穂を発見しました。
そしてそれを採取し栽培すると近所の評判となり、「朝日」と命名して、その種子を分け与えました。
山本の偉大さはこの品種をみつけただけでなく、翌々年には、京都府農事試験場に試験を依頼し、その評価を得ています。
このとき同名品種があったことから、 「旭」と改名されました。
もちろん好成績で、大正9年(1920)には「京都旭」として京都府の奨励品種に指定されました。
彼はさらに各地の試験場に種子を送り、その評価と奨励を依頼しています。
そして、どこにおいても好評価を得て、各地では「旭」の純系分離による品種の育成が行われました。
京都農試で純系分離によって育成されたものが「旭1号」です。
当地滋賀においても育成が行われ、特に優れた食味の「滋賀旭27号」は昭和40年代まで栽培されています。
旭はどんな味?そして何故栽培されなくなったのか?
食味は、しっかりとした大粒で食べごたえ充分。 粘りはほどよく、香りと甘さを兼ね備えたふくよかで上品な味です。
また、滋賀県大津市内のアトピーの会では「滋賀旭」を食べるとアトピーが出なくなったという報告もあり、食味だけでなく、低アレルゲン米としての可能性も秘めているようです。
そんなに美味しくて素晴らしい品種であれば、何故栽培されなくなったのでしょうか?
それは、戦後からの多肥増収という、肥料で米を取るという流れから、耐肥性が弱く、肥料をやれば倒伏しやすいため。
また穂についた籾がこぼれ落ちやすいため、機械での刈取りに不適とされたことにもあります。
もう一つは、米流通における新米販売を早くという要求で早生品種へのシフトもあります。
アグリなかいでは、米作りを続けていく限り、この旭「滋賀旭27号」は守り続けていこと考えています。