2004/01 警鏑乱打 自然医学誌 巻頭随想 解説編

これは月刊自然医学(2004/1月号)に掲載させている森下先生の巻頭随想の解説編です。

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2004/01 警鏑乱打

 2003年10月10日、トキ(鴇)の「キン」が死んだ。
 トキは、動物分類学上ではコウノトリ目に属し、「ニッポニア・ニッポン」の正式学名を持つ鳥で、特別天然記念物に指定されており、合わせて国際保護鳥ともなっていたものである。
 近年、絶滅の危機に瀕していることから、'81年に、わずかに6羽だけが残っていたトキは、捕獲・保護の措置がとられていた。
 だが、その甲斐もなく、「キ」「アカ」「シロ」「アオ」「ミドリ」と相次いで死去していった。
 そしてついに最後の1羽であった「キン」が死んだことで、トキは全滅してしまったのである。

 この事実は、わが国の環境問題における重大事であり、とりわけわが国の自然破壊が重大な局面に立ち至ったことへの警報に他ならないことだと、明確に認識すべき事柄なのである。

 欧米論理によって成り立っている物質文明社会に端を発している、この地球上の生命圏の侵蝕・崩壊現象が、着実に進行中であることを、はっきりと眼に見える形で突き付けられたわけである。

 最後の1羽であるトキの死去が報じられた当時、環境省が発表したところによると、我が日本国内ですでに「種」としての絶滅が確定されているものは、動物が47種、植物が55種に及んでいるそうだ。
 また、絶滅の恐れがあると目されている種「絶滅危惧種」は『レッドデータ・日本版』によると、動物・植物合わせて2,663種にのぼる、ということである。

 件のトキ「ニッポニア・ニッポン」の絶滅の報道があったのと前後して、北陸沿岸においては、クラゲ(水母)騒動が持ち上がっていた。
 苦労して張った定置網にかかったのは、魚類ではなく、直径1メートルにも及ぶ巨大な越前クラゲの集団ばかりだった、との事件である。

 漁師や水産関係者の落胆振りは、部外者であるわれわれにも十分に伝わってきた。
 だがしかし、この怪奇現象が引き起こされるに至った因果関係は、人間の力ではどうしようもないことなのである。
 これは、近年多発している世界的規模の以上現象(そもそもの発端には、多分に人為的なものが絡んではいるけれど……)によって引き起こされた、ちょっとした末梢的なエピソードの一つにすぎないといってよい事柄なのであろう。

 そうした観点からいくと、昨今話題になっている「霞ヶ浦(茨城)で起こった、鯉ヘルペス病が元となった養殖鯉の大量死」事件は、トキ問題と同様に、われら人間の営為を大いに反省するための材料となすべき事柄である。
 真相に突いては、まだ詳しい事は判らないけれど、霞ヶ浦の水質汚濁は年々増悪する一方だったから、これも一つの誘引となって、鯉ヘルペス病の一斉罹患現象が引き起こされたとも考えられる。

 「環境」と「生命」とは、もともと一体のもので、互いに切り離して存在し得ないものである。
 食生活も含めて環境が悪化するということは、すなわち生命が劣弱化し、衰亡し始めたことを意味している。
 宇宙全般の営みが健全に進行している状況がなければ、生成発展する(健康・長寿が実現する)道理もないのである。

 実際、すでに地球表面に棲息する生物群の一部では、人間のエゴ(他を省みず、自分だけの都合を優先させること)によって、現に絶滅しているのである。
 しかも、この痛ましい災害は只今も確実に拡大しつつあるのだから、同じ生命体である人間自身も何らかの影響を受けざるを得ないことは当然至極の話というべきだろう。

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