これは月刊自然医学(2002/12月号)に掲載させている森下先生の巻頭随想の解説編です。

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2002/12 「カスピ海ヨーグルト」奇奇怪怪

最近、「カスピ海ヨーグルト」とかいう得体の知れない物が、我が物顔でノサバリはびこっている、との世間的ウワサがある。

何者かの仕掛け人と、新聞・テレビなどのマスメディアとの馴れ合いによって、いつの間にか驚くほどに膨れ上がり・広まってしまったもので、かつての「紅茶きのこ」と同様の珍現象に違いないと推察される。

けれども、いやしくも健康・長寿に関連した事象であるし、カスピ海などと「我が愛しのコーカサス」地域の名前を冠しているものであるから、一応、そのものの「出どころ」および「血すじ」について調査してみたのであった。

それによると、その「カスピ海ヨーグルト」なるものは、「86年に、我が国のある有名な医学者が、コーカサスのグルジアから持ち帰ったヨーグルトである」との解説が標準的なものとなっていた。

国際自然医学会員の方がたや、この『自然医学』誌の読者の皆様には、先刻ご承知の事柄だが、私は、75年以来、コーカサス三国(グルジア、アルメニア、アゼルパイジャン)に於ける本物の世界的長寿郷を、それぞれ地元の長寿学専門家と協力しつつ、都合20回以上に亘って、つぶさに実地調査を繰り返し行なって来ている。

そして、言うまでも無く、現地コーカサスの百歳長寿者たちが愛用しているヨーグルトにも、長寿食の一つとして、十二分に注目してきたのである。

実際、82〜83年には、我が森下長寿郷調査団は、グルジア共和国内に在る「正真正銘の世界的長寿郷」から、その地の百歳長寿者たちが愛飲しているヨーグルト「マツォーニ」を日本に持ち帰って、全国各地の生牛乳への移植・培養を試みたのである。

本物のマツォーニを日本全土に普及させれば、世界的長寿郷を有するグルジア共和国への関心が喚起され、さらにはその宗主国・ソ連邦との善隣友好(隣り合った国同士が仲良くする)にとって大いなる有効打となるものとの考えからであった。

ところが、その思惑は完全な空振りに終わった。

「マツォーニ」は、わが国の生牛乳には、移植・培養することは不可能であることが、はっきりとわかったのである。「何かの手違いかも…… 」と、念を入れて再度、同じ試みを行なってみたけれども、やはり、結果は同様であった。

それゆえ、「我が国で生産されている牛乳は、さまぎまな公害物質や、各種の薬剤(飼料に混合している)で汚染されているが、そうした不自然な化学物質がマツォーニに含まれている有用菌を抹殺してしまうのではなかろうか」と判断した次第である。

それから2〜3年後、真筆に長寿学の深耕を目指す同志として心から信頼し合っている友人の一人であるダラキシビリ博士(グルジア在住)に依頼して、いろいろな実験・研究を行なって頂いた結果、我が国に流通している「公害牛乳」にも移植ができる新変種菌「マツオーニ」の開発に成功したのであった。

しかし、私ども森下自然医学が求めているのは、あくまでも「本物長寿者たちが愛和しているマツォーニ≠ニ同等のヨーグルト」であるから、この新変種菌・マツォーニの商品化は見合わせた。
なお、この新変種菌は、ダラキシビリ博士の特許となっており、件のカスピ海ヨーグルトが、この菌を用いている事実も、全く無い。

そもそもグルジアという国は、カスピ海には臨んでいない。
またグルジアの百歳長寿者たちが愛飲している「マツォーニ」が、日本産・生牛乳への培養不可能≠フ事実は既に実証済みであることは、先に述べた通りである。

となると、「カスピ海ヨーグルト」の正体は、一体全体どういったものであろうか。

もしも、本当にグルジアから持ち帰ったものであったとしたら、
 一、それは、恐らく山間僻地に存在る本物の長寿郷ではなくて、街中に出回っている種々の雑ヨーグルトたちの中の一つに違いない。
 二、だがしかし、「カスピ海」の命名のナゾは依然として残る。

結局のところ、「世界的長寿郷・グルジア」のイメージをもたせるための、苦肉の策なのだろうが、全く人をバカにした話である。

「カスピ海ヨーグルト」なるものは、長寿とは一切無関係の存在である、と断言できるのである。

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