これは月刊自然医学(2001/12月号)に掲載させている森下先生の巻頭随想の解説編です。

随想集 TOP PAGE

無脳性(農政)「狂牛病」 其の一

イギリスの有名な科学雑誌である『ネイチャー』は、日本に狂牛病が初登場を見たことに関する論説を掲載した。
雑誌の性格上、こうした記事内容は異例とも思えるが、その論説の大略は、次の通りである。

「水俣病、‥薬害エイズ、さらに薬害ヤコブ病等は、日本政府の政策的怠憎、とりわけ政府と関係業界(窒素会社、薬品会社等)との癒着が、変異発生への適切な対応を遅らせ、それら奇病の発生を許すこととなり、犠牲者が多数輩出する結果となった。
この度の狂牛病問題に於いても、そうした事情は全く同じである。
感染源と見傲されている肉骨粉飼料の取り扱いをどうするかといった取り蹄まりを、”拘束力”を持たない(きちんとした法律・規則を作り、違反した場合の罰則も明確にして、勝手な行動の阻止を図る、といった効力を持たない)単なる行政指導で済ませてしまった結果である。
また、日本政府は、EU(欧州連合)が作成した「日本にも狂牛病が発生する危険性は大で、危険度を示す1T4の数値では、かなり高レベルの3にある」との評価を、受け入れることを拒一否するといった、穏やかならざる対応があった。
こうした独善性をなくしていくことこそ、政策病(誤った政策によって引き起こすに至った病気)が連鎖的に発生する現象を断ち切る最重要ポイントである」と。

全くもって、よく言うよ! 狂牛病の震源地となったばかりか、その元凶である肉骨粉を売り捌くことによって、その世紀の業病を世界に瀰漫(びまん)させたのは、一体どこの国だったのか。
自らの罪状を棚に上げて、人の国の論評など出来る立場か。全くいい気なものである。
とは言え、そこで指摘されている事柄は、正しく正論であって、正鵠を射ている。
それゆえ、こうした論説をよくよく読むことによって、今回のわが国の狂牛病問題が、如何にして出来したのかという事の真相をしっかりと把握しておきたい。

私は、すでに数年前から、
「英国で勃発した狂牛病騒動は、決して他人事ではない」
「狂牛病の発生原因は、家畜の死体を原料とした加工物を加えた飼料・いわゆる”肉骨粉”にふくまれている異常プリオンに他ならない」
「日本に於いても、件のプリオン入り飼料が輸入・使用されているのだから、それによって狂牛病が発生するのは時間の問題である」
「プリオンによって汚染された牛肉を食べた日本人に、新変異型CJD(狂牛病が人間に感染して起こるヤコブ病)が、潜伏しつつ、相当規模で拡大しているはずである」との指摘を繰り返し行なってきている。

1996年に、イギリスでは、牛の病気である狂牛病が、人間に感染する事実があることを、公式に認定した。
それと同時に、イギリス国内で肉骨粉飼料を使うことを、全面的に禁止した。
ここで留意したいのは、あくまでも使用禁止であって、「製造禁止」ではない点である。
造っても構わないし、外国に輸出するのもOKだが、国内で使ってはならない、というわけだ。

ことほどさように、次のような、ある商社マンによる恐るべき証言がある。
「我が社の飼料輸入量の年平均は、それまで100トンに満たなかったものが、1996年以降は、2,000トンを越える程に跳ね上がった。我が社を含めた全国の年間総輸入量として見れば、恐らく、この数倍以上の量になっているはずである」と。

肉骨粉は、イギリスで全面的使用禁止措置がとられた、その後になっての5年間に、我が日本に於いては信じられないほどの無神経さで、それの消費が続けられた。
その輸入量(ということはイコール使用量と言える)は、最低でも100,000トン〜200,000トンに及び、その問題飼料を投与された牛(食肉牛および乳牛)は、軽く10,000頭を越えているのが実態である。
この途方も無い数字から見ても、日本に於ける発病第1号が出た今年(2001年)の9月に至る以前に、たったの1頭にも狂牛病発生が無かったというのは、何とも摩詞不思議な話と言わざるを得ない。

事の経緯から、どう考えても、相当数が狂牛病に罹っていたはずであるが、それら罹患牛は皆とっくに日本人の胃の腑に納まって、全く跡形も無くなってしまった……との怪談が残るばかりである。

BACK

当サイトは通産省個人情報保護ガイドラインに基づいて運営しております
当サイトの画像及び掲載内容の無断転用は固くお断りいたします

トップページ お客様の声  無農薬の玄米とお米のご注文 order 我が家の無農薬の米 culture 我が家の食と住 mylife 自然医学の田んぼ health コラムなページ hello 遊んでいって rest 質問・問合せフォーム
このサイトは百姓アグリの苦心?の手作りです。
日本のほぼど真ん中に位置する滋賀県。
日本最大の水たまり琵琶湖。
我が家はその東側に位置する蒲生町というところに生息しています。
「生き生き、わくわく」をモットーに、
無農薬米や不耕起直播栽培など、
サステイナブルな米作りを目指して楽しく百姓をしています。
ご感想やご意見、よろしくね。