自然医学概論② 腸造血理論のあらまし
赤血球母細胞は腸繊毛にのみ存在する。
「腸造血」というのは、「消化された食物が、腸の壁で、血の細胞に変わっていく」ということである。
直接、消化された食物が血液の細胞(赤血球)に変わる訳ではないが、”間接的に”血液の細胞に変わっていく のである。
その事実の動かぬ証拠は、赤血球母細胞(赤血球を生み出す母親の細胞)が、腸の繊毛内腔にしか存在しないことである。 腸以外の、われわれの体のいかなる場所にも存在しないのだ。それゆえ、「腸で血が造られている」ということは、何人も異論を挟む余地のない、明白な事実である。
生体の基本形態は三層構造
私どものからだの基本形態は、「空気のぬけたゴムまりに、指を突っ込んで一部を窪ませた状態」になっている。
そして、その窪んだ部分が、消化管となっている。
したがって、消化管といっても、何も特別な組織というわけではない。体表の組織と、まったく同じなのである。
そうした基本形態のものを、水平方向に輪切りにして、それを上から眺めると、3つのゾーンが、同心円状になった三層の構造になっている。
真ん中は消化管。
その外側に血液の世界。
そして、さらにその外側に体細胞の世界が存在している。
このように、消化管、血液、体細胞といった3つのゾーンから、われわれの体は成り立っているわけだが、ここで大事なことは、この「食の世界」と「血液の世界」と「体細胞の世界」の3者に”区切りが無い”ということである。
これらの3者は、全て連続しているのである。
自然界のあらゆる現象は、みな連続している。刃物で切ったように、完全に切り離された現象というものは、皆無である。
全部どこかでつながっている。
生命体においては尚更のことで、全ての存在・現象は深く関わりあっている。
そして、その血液の細胞が、体の細胞に変わっていく……というように連続しており、しかも、中心から外側に向かって一貫して”延伸性”に発展をしていっている。 ただし、ここで、十分に注意しなければならないのは、単に”遠心性”に発展していくだけではなく、それに続く働きとして、逆向きの求心性の収斂機能もある、ということである。
この求心性機能のカラクリを説明できるのが、次に紹介する『末梢血液空間理論』に他ならない。
遠心性の発展機能の結果として生み出されたのが体細胞だが、それぞれの組織の構成要素としての活動をした後、寿命がきた体細胞は、末梢血管空間の中で一定の処理を受けて、肝臓経由で腸に戻っていく。
遠心性の発展をすると同時に、急進性の収斂をする……というように造られている。
※自然医学誌№416「韓国招待講演の概要記事」より抜粋