これは月刊自然医学(2003/10月号)に掲載させている森下先生の巻頭随想の解説編です。
2003/10 韓国出講記 (其の三)
われわれの生体は、互いに正反対の方向性をもつ「2本の基本的代謝軸」を持っている。
- 一つは、「食物を消化管に於いて、より次元の高い状態(生きている物質)にした上で、血球に仕立て、さらにそれを体細胞に変えていく」という遠心性の発展的カラクリを持った生理軸(基本的生理機能)である。
- もう一つは、「老廃化した組織および薬毒等に障害された組織が、末梢血液空間に於いて細分化された上で、腸内に排出される(直接的に腸内排出される場合と、いったん肝臓を経て胆汁と共に腸内排出される場合とがある)」と言った求心性の収斂的カラクリを持つ生理軸である。
さて、朝鮮大学校、大学院における第3時限講座「ガンの食因説と食治法」は、当然のことながら、右記の森下自然医学「新理論」をベースにした講義となった。
遠心性発展機構に於いては、腸内に取り込まれた食物が、その後に展開する事柄すべての基本的性格を規定する原点となっていくことは、言うまでも無いことである。
われわれの体の血液や体組織細胞の質≠フよしあしは、食物の質によって左右される。
したがって、人体生理に合致した質の良い食物を選択することは、健康づくりの絶対的条件となる。
ところが、肉食人種が自分たちの現実に即して作り出した現代医学・栄養学が定説として一般に広めた考え方は「肉食肯定論〜肉食推奨論」であったために、現代文明社会に生きる人々の不健康・病弱化に多大な貢献をする結果になってしまったのであった。
肉食は、人体の遠心性発展プロセスに於いて、腸内環境を悪化させるとともに、赤血球・白血球および体組織細胞を質的に劣弱な状態にする。
その必然的結果として体組織細胞全体が早熟・早老を来たすようになる。これは当然至極の成り行きなのである。
したがって、肉食によってこしらえられた体組織は、早ばやと崩壊現象を見せることになる。
こんな状況では、体の生理機能全般が低調化したり、支障を起したりしがちだが、そんな中でも組織輸送力(細胞間隙を縫って輸送される力)が残っていれば、その働きによって、崩壊組織群は「末梢血液空間」に送り込まれる。
そして、そんな廃棄物の一切合切が、この「末梢血液空間」において所定の生理的処理(細分化→腸内排出)を受けるのである。
そしてもう一つ、20世紀において目覚しい進展を遂げた有機合成化学技術は、およそ100万種に及ぶ新種の不自然物を生み出し、それを広く撒き散らした結果として環境汚染を引き起こしたわけだが、その不自然物は、直接・間接的に人体に還元される(人間の手でこしらえられたものが、再び人間のもとに返されてくる)事態が、只今も着実に進行中なのである。
“天に唾する”の諺どおりの誠に愚かな行為というほかは無い。
近年の、西洋文明の恩恵を存分に享受している国々に於いて、ガンや慢性病が多発している最大の原因は、「精白食品や肉食といった、食生活の決定的誤り」と「公害レベルに達した化学薬剤による侵襲」とが合体しているところにあるのである。
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